大槻香奈個展「ごめんね本当は」
6月3日(金)‐19日(日) 月・火休廊 13時‐19時

私が作家デビューをした約15年前、SNSはインターネットを通じて誰もが言いたいことを言える、人々にとってひとつの希望として緩やかに一般化していたように思う。しかし時が経った今その副作用として、SNSを離れた日常のなかにもどこか自分や他人がインターネット的繋がりを持っていることを意識させられるようになった。目の前にいる相手ひとりのことだけではなく、その背景にある様々な事柄を必要以上に感じながら向き合うことが多くなった。またその相手は、SNS上でみられるキャラクターと現実に向き合った時にみられるそれとの乖離があったりもする。私自身も例外ではないだろう。私はそれらについて考え、現代の人間関係においてどのような距離感が適切なのか、時々分からなくなる時がある。少なくとも私自身はそのように葛藤して、人と関わり合いながら生きている。

それと並行して、近年はSNSという場の質が急激に変化してきたように感じる。日常の何でもない(くだらない)呟きを残す場というより、どこか常に、ひとりの人間として正しく振る舞うことを求められるような場になってきた。インターネット上に何かを残せば、それで人間性をジャッジされてしまう。

そのような流れの中で、油断すれば安心して本音を言える機会がどんどん失われていくことを思う。どうするのが正解かはわからないけれど、私はそんな時に本当の意味で絵画が描きたいと思う。ある意味では古い考えなのだろうけれども、SNSのタイムラインで流れるのにどこか相応しくないメディアとしての絵画を、今ここで考える。そこには様々な時間軸や並行世界、個人的なこととそうではないことの全てを込めることができる。様々な葛藤を絵の中に閉じ込めることも、そこから未来に向けて解放することもできる。作品は原画的良さと同時に、インターネット上での見え方も意識しつつ、良い落とし所を探りたいと思う。本展によって、豊かな心の対話が開かれることを願う。

大槻香奈

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村田兼一写真展「宵待姫 十三夜出版記念展」
7月1日(金)~17日(日) 月・火休廊